内乱の予感

背後から見たダリが背後から見たガラを描くのを六つの仮想の角膜が永遠に六つの実際の鏡に反射されている。

複数人でモーションから音MADを考察してみる その1

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11月後半に行った音MADをモーションの方向から話してみる通話の書き起こしになります。今回は2時間ぐらいやった内の30分ぐらいの話です。

話題滑り有り、真偽不明の考察有り

C→球体群の調和 1→1時 H→Happy Machinery L→劣化


C:という訳で「モーションから見る音MADを考察する」録音開始させていただきます!自分は音MAD作者の球体群の調和と申します。

1:1時と申します、よろしくお願いします

H:ハピマシ、Happy Machineryと申します、よろしくお願いします

L:劣化です、よろしくお願いします

C:よろしくお願いします!

C:という訳で今回、こういう形(録音のち書き起こし)でやらせていただくのですが、この通話の趣旨としては僕がいくつか事前に送っていた気になっていたこと等をみんなで好き勝手に語ったり、考察したりしよう!という感じになります。

C:これをやるきっかけに関しては本当に大したものではないというか、単純になんとなく他の人の話を聞きたかったというだけで何か野望であったり大層なものがあるわけでは無いので気軽に喋ってください。よろしくお願いします!


C:という訳ででは最初の話題、モーションについての時代の流行りや使用ソフトの制約の視点からの考察です

C:これは僕自身が「昔の凄い映像」、具体的に言うと男尻祭とかがすごく好きでそういう感じのすごい映像を見あさっていた時期があったんですが、やっぱり全然違うんですよね(最近の凄い映像とは)。もちろんデザインだったり、色調だったりも全然違うのですが、一番はオブジェクトの動きがそもそもとして全然違うなというのをずっと感じていて、男尻祭のような映像がどのような経緯をたどって今のようなスタイルに落ち着いたかを考えてみたいなと思っています。 

 

C:僕的に一番気になっている点としては使用ソフトの視点についてで、やっぱり確実に昔の時代だと使用ソフトに制限だったり、PCの性能にも制限があったりとかあったと思うんですよね。そこから出てくる特性や縛りだったり。そういう点についてこの中で一番音MAD歴の長い1時さんはなにか気づいてる事とか知ってることとかありますか?

1:うわ~ムズい!!

C:むずいですか(無茶ぶり)

1:ムズいっていうのは、じゃあ昔AfterEffectsとかがどんだけ浸透してたかっていうのが分からないところがあって、例えばさっき男尻祭を例に挙げられてましたよね。

C:そうですね。

1:2011~12年ぐらいになると流石にAviutlも普及し始めると思うんですけど、たぶんそれまでってAviutlじゃなくてVegas proとかのほうが多いと思うんです。それで言うと僕自身は2013年初投稿でVegasを通ってない人間なので、Vegasっぽい動きとかが当時あったらしいんですけど自分にはちょっと見分けがつかない状態ではあるという感じです。

(追記: 参考資料)

otomad.jp

1:だからじゃあ、いわゆる音MADで言うところのモーション凝ってるものみたいなのが使用ソフトの制約があったかと言われるとちょっとわかんないんですが、多分AEを持っている人だったらそこは問題なくやれていたという感じがしそうな気がしますね。ただ、ツールの普及という面では今ほどではないと思うので、あんまり技術の共有というかモーションの面での流行りはなかったと思います。

(追記: 音MADではないけど、2011年時点で現在と変わらないレベルのモーショングラフィックスが出ているのでソフトや制作環境に依らないという事の裏付けになるかもしれません)

1:それで言うと出来る人が一部それをやってるという感じで、もうそれだけでオーパーツ的な感じになってるという。だから技術的な共有はまだ盛んではない分、それぞれのモーションとか作りってのがかなり作家性というか、投稿者の作風とも一致してたような感じがしますね。 

C:なるほど。

C:だとすると、自分は男尻祭に関して結構その統一感というか、全体的に同じものを感じているんですが、その点についてはどういう感じになるんでしょうか。

1:男尻祭内での何かぽさがあるという感じですか?

C:そうですね。これはまた後でも話したいんですが、例えばこの最初のここのモーションとかも凄く特徴的というか、激しくない動き、優しめですよね 

(0:11~)

(1:44~)

C:こことか(1:44~)も結構個人的に男尻祭の象徴的なパートだと思ってるんですが、リニア移動にモーションブラーがかかってるみたいな。こういう感じが昔の凄い映像には多かったなという感触があります。 

H:当時視聴者だからあんまりわかってない部分もあるかもしれないけど、一つ思うのは今ってモーションや動きで「魅せる」という感覚があるというか、一連の動きに視線誘導があって、みたいな。

H:動きにロジックが込められてるみたいな感じがあったけど、やっぱりMADの初期って「そこに素材があるだけで面白い」というのがあるから、「そこにある」っていうのがまず大事で動き方ていうのはパッてでてきたらいいっていう感覚。素材自体を「見せる」ためにパッパッパッと出てくる感じだよね。

L:確かに見た時の印象としてレイアウトの方が頭に残る感じがあるかも。

1:レイアウトを作る感じですよね。そのシーンを作るうえでのレイアウトというか。

H:シーンをまたいで動きを作ることは少なかったかもしれないね。

C:元からこうデザインを作った上で動きを付けてるから、あくまでモーションはその当時ではまだ過程に過ぎず、作り手にとって重要視がされていなかったみたいな感覚がある感じですね。

1:いわゆるモーションでの個性って言うのはそこまでまだまだ目立つところではないという、まだそこが優先されてはいないってことなのかなと

C:結構今の話は面白いっていうかなるほど!っていう感じですね。


C:話がちょっとずれるんですが、この通話をする前に自分の中で色々考えていたんですがさっき言ったような男尻祭みたいな動きとしてかなり僕の中で象徴的なのが月面ドリルライナーさんの音MADなんですよね。

(7:04~)

(2:57~)


やっぱりこれらの動画に関してもモーションブラーがかかっていて動きの緩急が激しくないという感じ。これらの動画、特にドナルドはレイアウトよりも動きそのものを重視している、モーションを見せたいっていう気がありますよね。

1:これに関してはモーションを自分でつけられるっていう事の面白さですよね。本来静止画のフッテージだと思うんですけど。

C:これはどういう流れの中にいるんでしょうか、あくまで作風なだけとも言えますが…

H:どういう流れかはわかんないけど、これはこうやったら面白いだろみたいなのを微調整した結果って感じがする。

L:あー

C:確かに…

1:これが事実としてどういう珍しさがあったかってのは当時の温度感とかにあるので正直分かんない部分があるんですけど、要するにドナルドっていうのはレスリングに近いぐらい色々使われてる素材なんでその素材の中で自分はこうするみたいな独自のアプローチをとった上でこうなったのか、それとも月面ドイルライナーさんが元々の彼自身の作風として行っていたのかは気になるところですね。

1:この頃のドナルドっていうのは多分相当盛り上がってる途中だとは思うんですよ。そこへこうまた一歩違う事をやってやろう見たいな位置づけだったのかはかなり気になるので記事になった時誰か反応してくれると嬉しいですね。誰か教えてください!

C:有識者の方反応お願いします。

1:ちょっと話を戻すと、男尻祭はいわゆる元々動いてるBBとかそれを配置するっていう感じですが、これ(月面ドリルライナーさんの動画)は切り抜いたものを動かすというパペット的な感じのことをしてると思うんです。それは限られた素材で動画を作ろうとすると必然的に生まれてくる選択肢なのかなって思います。

C:なるほど、この素材だけでやろうとするとっていう感じで

1:月面ドリルライナーさんは多分、広くBB素材が扱われてる素材とかよりもおそらくニッチな素材を扱う感じだと思うので、そういう元々の素材とか切り抜き素材が充実していないものから映像を構成することに割くって言うか、作為があると思います。それがドナルドに持って行ったときにそういう形になったっていう可能性も考えられるなと思いますね

L:音MADの場合は使う素材のニッチさによってその辺の動かし方の幅っていうのが自然に定まってきそうですよね。

C:う~ん、でもなんとなくな話になってしまうんですが、仮に今ニッチな素材で音MADを作って面白い感じにしようと考えた時に、こうはならない気がするんですよね。自分がドリルライナーさんの発想に追いついていないだけではあると思うんですが…

1:僕は調和さんと同じ流れにいないのでその点についてははっきりと明言できないのですが、例えばこれらの動画ってまず文字がない、もしくはあっても本当にただの音声の補強としての意味しか持っていないですよね。

C:あ、確かに。

1:文字とか、もしくは画面上にあるデザインとしてのオブジェクトとか、いわゆる音MAD素材ではないところから引っ張ってくるフッテージっていうところを映像に取り入れてくると多分今風って感じになると思うんですけど、それがキャラクターに限定されているからこそ時代の差というか、何か世代間の差を感じてしまうのだろうなとは思います。

C:確かに、ちょっとモーションとはズレるんですが一時期msゴシックに黒縁取り、拡大率で拡大したテキストを使ってふざけるみたいな流れがありましたよね。そもそも面白さのベクトルが違うし、勿論テキストの内容でストーリーを伝えつつ馬鹿馬鹿しさも演出できる点が広く好まれた理由だとは思うんですが、こういうのは昔の動画には見られないですよね。

(追記: ちょうどそのような動画の例があったので)

L:ある意味音MADの視聴者層が変わって求められる面白さのベクトルが変化したともとらえられるよね


H:モーションの話に戻るけど、やっぱりYTPMVみたいなものがメインとして出てきて主流となり始めてから、画面上にどのドラム隊とかあらゆる素材を敷き詰めるみたいな感じが出てきて、だけどこの時はまだメインの素材の素材、見せたい素材を見せるみたいな。

H:そんな感じだから、出てき方もリニアとか以前にポンッて出てくるのも多いよね。

L:確かに

C:これでも(何の素材使ってるかは)わかるっていうか、成立してるから別にここはリニアの移動で良いっていう判断だったんだと思いますね。これは先ほどのハピマシさんの話(昔は素材がそこにある事が面白がられていた)とつながりますね。

L:全体的にYTPMV以前は音と映像の同期による気持ちよさみたいなものをあんまり求めていなかった感じはしますね

1:やっぱり印象としての同期というよりも、内容としての同期をしているという感じがしますね。それで言うと、これはこういう状況ですよ、これは誰がどう喋ってこういうネタになってますよといったところでの同期が優先されており、そのデザインや見せ方、演出としての音声同期っていうところは優先されていないっていう感じがします。

1:あと、結構僕は一連の話を聞いて思ったんですが、人間のオブジェクトってのが結構関係ありそうだと思ってます。先ほどハピマシさんがYTPMVの話を出されたと思うんですが、YTPMVってのは割とトリミングされたフレームとかがあると思うんですけど、別にこの切り抜きの人間が何の装飾もされずに同じような動きをしたときにそれがデザイン的な効果を生むかと言われると想像しづらいとは思いますね。

C:オブジェクトのモーションにデザイン的な効果では無くて、面白さをそこに見出してやっていたのが月面ドリルライナーさんだったっていう感じかもしれませんね。月面さんの凄いところはそのアプローチでの面白さにいち早く気づいて実践していたところっていうイメージ。

H:人間のオブジェクトで言うと例えば円でトリミングしたら、その円をどう動かすかっていう思考が出てくるけど、素材をべたで置いてるからそれをどう動かそうかってなるとなかなか難しかったりするよね。例えば四角の枠の中に素材があるなら、その四角自体をくるくるって回したりとか、そういうのもできるけど。

1:そこで言うと人間に縁取りするかしないかでも印象は変わりそうですね。人間のシルエットに縁取りをすると多分静止画というか切り抜かれたものみたいな、ここにあるのは人間ではなくて人間が立てた看板や型紙であるような印象になるからその分本来であればあり得ない動きができる。そういう縁取りをするだけでも見え方の印象が異なる分、動かし方の発想として色々なアプローチが出来そうな気がしますね。 

C:今の話でパッと思いついたのは、男尻祭2010のこのパートですね。このパートは兄貴達を縁取りすることで紙芝居的な演出をしていますね。これもそのままでは違和感が出そうなのを縁取りで「そういうもの」という印象にしてる。

(0:56~)

C:まあこれに関しては発想として出てきたというよりかはこういう映像が作りたいから縁取りしたみたいな因果関係が逆な部分もあると思うので例として一概に言えるものではないかもしれませんね。


 

続き→未定